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日本製鉄の買収に反感と期待 米USスチールの地元を歩く

日本製鉄によるUSスティールの買収。

USスチールは、東部ペンシルバニア州ピッツバーグにある鉄鋼大手。ペンシルバニアの象徴、さらには強いアメリカの象徴みたいな会社です。USスチールの従業員が加入する全米鉄鋼労働組合(USW)は買収に反対しています。共和党のトランプ前大統領は、再選すれば「阻止する」と宣言、バイデン大統領もUSWに寄り添う姿勢を示します。

しかし、意外にも歓迎の声もあるようです。「日鉄に反対する人たちは1970年代の全盛期をまだ頭に思い浮かべている。かつてのUSスチールはもはやない」と。USスチールが2022年アメリカで生産した鉄鋼は、ピーク時の4分の1ほどの1000万トン。世界の鉄鋼企業ランキングでは1970年代の2位から27位に後退しました。

車で走ると廃墟だらけ。ラストベルト(さびた工業地帯)の代表州としてペンシルバニアは語られます。ピーク時に30万人を超えていたUSスチールの従業員も今では1万人ほど。雇用や地域経済への影響力はしぼむ一方で、日鉄への期待感があるのも十分理解できます。

日鉄側も、地元やトランプ氏の反応などは織り込み済みのはず。じっくり構えているように思います。決着は大統領選後でしょう。

 

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