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新しい連載小説「陥穽 陸奥宗光の青春」

楽しみな連載小説が、日経朝刊で3/1から始まります。

主人公は、明治の悲願だった欧米列強との不平等条約改正に尽力した外交官、「日本外交の父」とも呼ばれる陸奥宗光です。陸奥は、紀伊藩出身ながら脱藩をし、かの坂本龍馬と行動を共にしました。彼の師・坂本龍馬は「刀なしで独力で食っていけるのはわしと陸奥だけじゃ」と言わせました。その陸奥も「融通変化の才で坂本龍馬の右に出る者はいない。自由自自な人物で、大空を翔る奔馬だ」と龍馬を評しています。

その龍馬が凶刃に倒れ、その仇討ちに失敗したあと、陸奥はいったん我々の前から姿を消します。再び現れた彼が、師の影を踏みつつ、明治藩閥政権を相手にどのような戦いを挑み、敗れたか。彼のその前半生を辿(たど)る旅である、だなんてワクワクしてきます。

ケンブリッジ留学時代にしたためた勉学ノート。300ページ以上の分厚いノートに英文筆記体の文字がぎっしりだそうです。留学の7年前には、政府転覆計画に加担した罪で山形の監獄に送られています。起死回生を試みる彼の執念が美しいノートに結晶しています。そんな彼の思いが、連載小説からも伝わってくるのでしょう。

「陥穽(かんせい)」とは、「落とし穴」「わな」のことです。「青春」ともあるので、「カミソリの陸奥」とも評された外交官としての辣腕ぶりまで描かれるかは分かりませんが、3/1が待ち遠しいです。

 

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