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ブラジルとアルゼンチン、共通通貨協議で一致 首脳会談

これはなかなかのビッグニュースです。ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は23日、ブエノスアイレスで首脳会談を開き、両国間の貿易などで用いる共通通貨の創設に向けて協議することで一致しました。金融と貿易で用いることができるデジタル通貨の創設が検討されており、当面はユーロのような通貨統一は想定していないとの見方も示しています。


ビッグニュースと言っても初めての話ではなく、共通通貨の構想は両国が右派政権だった19年6月の首脳会談でも浮上しましたが、同年12月にアルゼンチンで左派のフェルナンデス政権が発足すると機運は薄れました。しかし今回は、ブラジルで左派のルラ政権が1月に発足したこともあり、フェルナンデス政権も同じく低所得者層を支持基盤にしていることから交流が盛ん。昨年10月にルラ氏が勝利を決めた翌日に、フェルナンデス氏が真っ先にサンパウロに祝福に駆け付けたくらいです。


このエピソードからも伝わるように、今回の動きはアルゼンチン側から呼びかけたようで、アルゼンチンの通貨ペソは安定度に劣り、アルゼンチンの消費者物価上昇率も94.8%とブラジルの5.8%より高く、共通通貨構想が進めばアルゼンチンの方に利がありそうです。


中南米ではここ数年、左派政権が相次ぎ発足し、域内の連携が進みつつあります。もちろん一筋縄ではいかない通貨統合で、10年単位で時間がかかる大事業ですが、個人的には分断が進む世の中で、何か一つのことを国をまたいで取り組むことはとてもいいことなので、応援したいと思います。

 

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