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過酷な芸能界「徹夜で仕事」77% 精神論から脱却を

2021年9月に設立した日本芸能従事者協会が、俳優や歌手、ダンサー、スタントマンのほか、映画監督、演出や照明、音響などのスタッフを幅広く「芸能従事者」と捉え、アンケート調査をしたところによると、「徹夜仕事の経験が77%。半数以上が年収300万円以下で、ケガをしても労災を認められないケースがほとんど」と、想像以上に過酷な労働環境であることが明らかになりました。ギャラ不払いやハラスメント、現場にトイレがない影響で、膀胱炎になった人もいるといいます。9時5時のサラリーマンとは違う世界だとは言え、常軌を逸しています。


特に、芸能従事者は被害に遭っても訴える先がないのが問題と記事にはあります。公的な労働相談は基本的に会社などに在籍する労働者が対象ですが、芸能従事者はほとんどがフリーの個人事業主。大手芸能事務所のタレントですら社員でなく、事務所スタッフにも個人事業主がいるそうです。

 

契約書なしで働いているため、前年の仕事や収入を示す契約書がなく、コロナの救済措置である持続化給付金を申請できなかった人が4割以上いると。大きなスポンサーのいない、インディーズ映画などは製作費自体も抑えられているため、撮影期間が数日で夜中まで働き、ギャラも不払い、出演者にはチケット購入ノルマがあるとも言われています。

 

とはいえ、少しずつ労働環境は改善されつつあるようで、21年4月から労災保険に芸能従事者が特別加入できるいうになり、臨床心理士による相談窓口も開設、契約書については文化庁も問題視しして検討会議を開催しているようです。

 

私たちが楽しく見させてもらっている芸能が、劣悪な労働環境やハラスメントの犠牲で成り立っているとしたらそれはあんまりです。記事の最後にありますが、まずは芸能従事者ひとりひとりが「昔はもっと厳しかった」という精神論に負けず、声をあげることから始めて欲しいと思います。

 

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