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防衛論にまっとうな保守主義を

日本の防衛費についての記事です。日本の来年度の防衛予算は概算要求で過去最大の5兆5947億円。GDP比でちょうど1%ぐらいですが、補正予算の上積みが今年もありそうで、昨年が7700億円だったのでそれも足すと、6兆円は超えそう。そのくらいのボリュームです。


これを「日本もNATO並みにGDP比2%の防衛予算にするべき」という意見が多いですが、NATO基準でいけば自衛隊員の年金や海上保安庁の予算、国連平和維持活動(PKO)への拠出金も防衛費にカウントする必要があり、その場合、日本は既に約1.2%となるそうです。これらも含まず、補正予算も含まないで、単に防衛予算の「倍増を」との主張だと、2%を大きく超えてしまい、議論がおかしくなってしまいます。


ただ記事にもあるように、日本を取り巻く安全保障環境の変化を考えれば、防衛予算の増額は必要でしょう。問題は財源をどうするかです。防衛費を本当に10兆円程度に増やすのなら、消費税2%ぐらいの増税が必要になる。それが非現実的だとしたら、社会保障費に切り込めるのか。


政治家の人たちと私たち国民とのズレがあちこちに見られ、最近はそれが多くなっている気もします。そのズレのひとつが「国債」の使い方だと思います。国債は国の借金です。借金はできるだけしない方がいい。無駄使いはせず、収入に応じた支出を心がけるのは、生活を安定させるには当たり前の話です。なのに、政治家はすぐ国債、借金に頼ります。故安倍晋三氏は、「防衛費の増額は国債で対応していけばいい」と述べていました。防衛費の増額が無駄使いだとは思いませんが、借金が増え、国の財政赤字も膨らむとなると、ちょっと待ってと言いたくなります。


少子高齢化がさらに進むのに、社会保障費に切り込む、これまた難しい問題です。じゃあ、消費税の増税くらいしか方法はないんですが、これを政治家はやろうとしません。国民が反発し、支持率が下がり、次の自分の選挙に影響するからです。中国やロシアの財政政策はおよそ慎重かつ保守的で、それは彼らなりの愛国心の発露であると記事にありますが、さすが大機小機、皮肉が効いています。 

 

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