イングランド・プレミアリーグ第21節。前節、難敵のトッテナムをアウェーで下したアーセナルは、マンチェスター・ユナイテッドをホームに迎え、見事な逆転勝ち。首位をキープしました。
それにしても、見どころが山のようにある濃密な試合でした。
先制したのは、ユナイテッド。前半17分にエースのラッシュフォードがPA外から右足を振り抜き、ラムズデールのゴールをこじ開けました。
今シーズンのユナイテッドは、先制した試合は10勝1分と負けなし。アーセナルにも昨年9月に先制しての3-1勝利。アーセナルは先制されて負けた唯一の試合でした。
「先制したらユナイテッド」と言いたいところですが、さすがは首位を快走するアーセナル。エンケティアとサカのゴールで試合をひっくり返します。
特にサカのゴールは、見事な左足のミドル。W杯でも活躍しましたが、まだ「2000年代生まれのニューヒーロー」という感じでした。しかしW杯後は凄みを増していて、世界のトッププレーヤーのひとりになりつつあります。
アーセナルの攻撃の起点はあちこちにありますが、右のサカに、左のジャカ。この「サカジャカ(ジャカサカでもよい)」からチャンスが生まれます。サカはチャンスメークだけでなくゴールも決めます。
この試合ですが、われらが冨安健洋がなんと後半の頭から、ベン・ホワイトに替わって出場しました。
「45分もみられるわ」とワクワクしましたのもつかの間、ポジション的に相対するのが先制ゴールを決めたラッシュフォード。W杯でも3ゴールを挙げ、大黒柱のハリー・ケインに万が一のことがあっても、慌てることなく引き継げる逸材。スタンドで見つめる、イングランド代表のサウスゲート監督もそう思っていることでしょう。
そんな猛者が相手では、さすがに序盤は対応に苦労していました。ゴール前で抜かれるシーンもありました。
後半14分にユナイテッドが同点に追いつきますが、そのコーナーキックの処理がGKと重なってしまいました。どっちが悪いとかはありませんが、ほろ苦い失点となりました。
しかし、ここで動揺しないのが冨安のすごいところ。何てことなく、落ち着いてプレーをし、パスなどに狂いはなし。これまでに見られなかった、高い位置でのプレーもあり、何度か右からクロスもあげていました。ポジショニングがいいもんだから、どんどんパスがまわってきていました。
そうこうしているうちに、ラッシュフォードへの対応もしっかりできるようになり、後半の後半はほとんどミスらしいミスはありませんでした。よくアルテタ監督は、後半の頭から替えたよなと。そのベンチワークも光りました。
冨安の「潤滑油」的な仕事ぶりもあり、チャンスも多く作っていたアーセナルですが、まあドローが妥当かな…とも思った後半45分、ドラマは待っていました。
三笘のブライトンから電撃移籍したトロサールのいい持ち出しから、左展開、そしてクロス。エンケティアが右足を伸ばして、見事ゴール。オフサイドが微妙で、VARも発動されましたが、ゴールは認められました。
ユナイテッドのラッシュフォード、アーセナルのGKのラムズデール、サカなどは次のW杯の主力を張るでしょう。そして、この日2ゴールのエンケティアは昨年のW杯はメンバー外。昨年のW杯はベスト8止まりだったイングランド代表ですが、次回はさらに上位が期待できると思います。