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インドネシアなど、東南アジア、国産ワクチンに力

インドネシアやタイなど、東南アジア各国が新型コロナウイルスワクチンの国産化に力を入れています。


インドネシアのジョコ大統領は、国営製薬会社ビオ・ファルマが開発した新型ワクチン「インドワク」の接種を始めると発表しました。インドワクは、イスラム教の戒律に沿ったハラルに対応。豚由来の成分やアルコールなどイスラム教が禁じる物質を排除し、開発着手からわずか1年弱で国内の認証機関からお墨付きを得ました。


開発を急いだ背景には、ワクチン争奪戦に翻弄された苦い過去があったからです。米ファイザーなど欧米の製薬企業がワクチン開発に成功すると、豊富な資金を持つ先進国は競うように個別調達を結び「ワクチン・ナショナリズム」が拡大。新興国や途上国は調達に苦戦しました。インドネシアで当初普及したワクチンは中国製でしたが、ハラル認証は得たものの、ウイルスが変異すると感染者は拡大、21年夏には一時世界最悪の感染状況になりました。


並行して導入した英アストラゼネカ製は、製造工程に豚由来の成分が使われていることが問題になり、聖職者組織のインドネシアウラマー評議会は、非常時はワクチンの使用が許されるとの見解を発表したものの、イスラム教徒の間では不安が広がりました。
先進国とのワクチン格差の解消は、東南アジア各国に共通する課題ですが、安定した生産体制の構築など、国産化は容易ではありません。しかし、インドネシアやタイなどは独自開発の悲願に向けて一歩ずつ進んでいます。わが日本はどうなんでしょう?個人的には、国産ワクチンにはこだわりませんが、こういう国々の努力を見ているとちょっとうらやましくも思えます。

 

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