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メローニ氏、現実路線で「過激派」イメージ払拭

日本などと同じく男性の政治家たちが牛耳ってきたイタリアの政界で、初の女性宰相が誕生しそうです。

 

25日投開票されたイタリアの議会選挙で右派連合の勝利が確実になりました。その右派連合とは「イタリアの同胞(FDI)」「同盟」「フォルツアイタリア」の3つで、選挙前に第一党になった政党から首相を選ぶことで合意しており、FDIが第一党に躍進したことで、メローニ党首が次期首相に就任する公算が強いとのことです。


メローニ氏は1977年生まれの45歳。ローマで生まれたメローニ氏は、幼くして父親は家族を捨て、母子家庭で育ちました。4歳のころ家が燃え、母と姉と一緒にローマ南部の貧しい地区に移り住みました。15歳の時にムッソリーニの精神を受け継ぐネオファシスト政党「イタリア社会運動(MSI)」の若者組織に参加した筋金入りの右翼政治家です。2006年にMSIの後継政党から出馬し初当選。現フォルツアイタリアの党首のベルルスコーニ元首相政権時には閣僚に抜擢され、12年にFDIを結党、14年に党首になりました。伝統的な家族主義を重んじ、同性婚にも反対。官僚主義的なEUにも否定的。19歳の時に受けたインタビューでは「ムソリーニほど優れた政治家は過去50年のイタリアには存在しなかった」と発言したこともあります。


ただ、首相就任が現実を帯びてくると、過激派の印象を薄めようと、言動は軟化しています。今回の総選挙では、英語・フランス語・スペイン語でスピーチする映像を公開し、イタリア右派は歴史の中で「ファシズムを退けた」と宣言。ムソリーニが制定したユダヤ人差別の人種法も明確に否定しました。親ロシアとみなされることも警戒し、ロシアへの経済制裁も継続を主張。伝統的な家族主義を重んじると言われている一方、自身はジャーナリストのパートナー男性と結婚せず、共に6歳の娘を育てています。

 

過激か、穏健か。


イタリアでは大統領が首相の任命権を持ち、閣僚人事も拒否することができます。政治の暴走を食い止める「最後の砦」となる大統領の前では、羊の皮を脱ぎ捨てるのは難しいでしょう。

 

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