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岩盤なき岸田首相の針路、支持率急落の「光明」

日経の世論調査で、岸田内閣の支持率は8月から14ポイントも下がり43%でした。参院選に圧勝し、これからしばらくは国政選挙がない「黄金の3年」を得たと言われていましたが、一寸先は闇とこの記事にはあります。


支持率低下の原因ははっきりしていて、安倍元首相の国葬決定を拙速に進めたことと、旧統一教会の問題をめぐる対応への不満、この2つが主因です。まあ、政権運営をしていると支持率が下がることは当然ありますが、そこでモノを言うのが「岩盤支持層」です。7年8カ月の長期政権になった第2次以降の安倍内閣はこの岩盤が支持率の底割れを防ぎ、最低でも38%にとどまりました。米国でもオバマ大統領の非白人層、トランプ大統領低所得者の白人層がそれにあたります。岩盤は支持率を下支えする半面、分断を生む一因にもなります。強すぎる結束はときに排他的な空気を醸し出し、融通も利かない。右にしろ左にしろ、極端な意見に走りがちになります。今の岸田首相には幸か不幸か、いわゆる熱狂的な岩盤支持層があるわけではありません。


一般的に、支持率低下の原因は2つあると記事にはあります。ひとつは、賛否がある政策を断行した場合、もうひとつは醜聞です。賛否がある政策の断行は支持率が下がったとしても一時的ですが、醜聞は尾を引きます。国葬は終わってしまえば、忘れられてしまいそうですが、旧統一教会の問題などは醜聞に近いので、元に戻るのは時間がかかりそうです。

 

ただ、おもしろいのは支持率低下は悪いことばかりではないということです。なぜなら政策が動くきっかけになるから。岸田首相は、次世代型原発の新増設や建て替えの検討を指示し、コロナの水際対策の規制緩和の意向も示すなど、ちょっと動き出しました。参院選が終わるまで静かにしているのはテクニック的にしょうがないかなとは思っていましたが、参院選が終わってからもたいして実績がない状態が続いていました。「支持率が下がらなくてもやることやれよ」とは思いますが、それでもやらないよりやる方がいいので、支持率低下が一筋の光明になり、政策を次々と進めて欲しいです。あれこれやらないといけないことは山積みなわけですから。

 

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