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IPEF14か国 半導体や医療物資融通、中国を念頭に

アメリカ主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の形が少しずつ見えてきました。バイデン大統領の提唱で5月に発足し、日米韓豪印、インドネシアシンガポールなどで構成されており、今日から2日間かけてロサンゼルスで対面による初の公式閣僚級会合が開かれます。


成果物となる声明には「供給網の危機管理メカニズム」構築という目標が盛り込まれるようで、具体的には有事の際に半導体や医療物資などの在庫を融通する体制づくりが検討されています。半導体などのほかには、感染症対応に不可欠な医療用防護服、レアアース、蓄電池なども念頭に置いています。


背景には、中国への警戒があります。2010年に尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した後に、中国はレアアースを輸出規制しました。コロナ感染が拡大した当初は、マスクや防護服を中国製に依存していた国は物流の混乱で調達が難しくなりました。IPEFの参加国は重要な物資の生産にそれぞれ強みを持ち、半導体なら日米韓、レアアースは米豪印、医療用防護服はインドネシアの生産が多いとされます。


関税の引き下げや撤廃は行わず、分野ごとに参加できるサークルみたいな枠組みが今後どんなふうに発展していくか、まずは今日・明日の会合の結果を見たいです。

 

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