時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

DMG森精機、創業地・奈良「技の総本山」

今関西では、奈良がアツいです。


工作機械世界最大手のDMG森精機が、創業地である奈良県で拠点の拡充や新設を進めています。このほど奈良市内の開発拠点を本格稼働し、ロボットや自動搬送装置などと組み合わせて複数工程を集約する技術開発を加速。グループ企業の工場なども2025年にかけて整備し、900人程度を雇用する方針です。


現在同社は、名古屋市から本社を同拠点に移し、東京都江東区との2本社制をとっており、総務や経理などの人材も奈良で働いています。森社長自身も高校まで奈良県で過ごし、登記上の本社所在地は奈良県大和郡山市に残すなど、奈良への思い入れは格別です。


DMG奈良県内に設けるのは、本社機能や開発拠点だけではありません。大和郡山市にある奈良事業所は、自動化など顧客ごとのソリューションを作り上げ、調整・検証する拠点として25年をめどに再整備する予定。工作機械をロボットなど周辺機器と組み合わせた工程集約に向けた自動化などの拠点が集まる奈良は、「エンジニアの総本山」(森社長)という役割を担います。


DMG森精機の「奈良回帰」。新拠点による人材交流などに、地元の期待はいやがおうにも膨らみます。開発センタの立地はJR奈良駅から100メートルも離れていない好立地。大阪や京都からも近いです。JR奈良駅から南へ1.8キロメートル離れたエリアでは、JR関西本線の新駅設置や京奈和自動車道(大和北道路)奈良インターチェンジの整備の計画があります。県内で唯一、ICと新駅が近接する交通結節点です。「おおむね10年後」の開業を目指す新駅を中心に、人工知能(AI)などを活用する企業などを誘致する計画で、その中心を同社が担うのは間違いありません。


同社は大学との連携も進めていて、今春、女子大学としては初の工学部を開設した奈良女子大学と連携協定を結び、拠点内に学生のための実習エリアを設けるなど、人材育成にも抜かりがありません。


人材育成というと、今年のショパン国際ピアノコンクールで2位になった気鋭のピアニスト、反田恭平氏と共同で、音楽家の活躍の場創出を目的とする新会社も設立。奈良県を拠点にオーケストラの公演や音源作成・配信などの事業を展開するなど、企業メセナもしっかり押さえています。


今後の奈良とDMG森精機には大きな期待がかかります。

 

www.nikkei.com