時事マラソン

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TICAD、対中国の舞台 岸田首相「成長の質」協調

チュニジアの首都チュニスで27、28両日に開催したアフリカ開発会議(TICAD8)が終了、日本が中国へ対抗する舞台となりました。

 

岸田首相が表明した支援額は3年間で官民あわせて300億ドルと、中国が21年の中国・アフリカ協力フォーラムで示した400億ドルを下回りました。資金力にものをいわせて援助攻勢をかける中国に対し、日本は人材教育や財政状況に目配りする「持続可能な成長」を強調しました。


日本はTICADを他国に先駆けて1993年に始めたアフリカ開発の老舗で、今回が通算8回目の会合。一時は世界最大のアフリカ援助国でしたが、中国が2000年に、中国・アフリカ協力フォーラムをスタート。今や日本の役割は中国の陰に隠れています。


今回の会議ですが、支持率低迷の打開策として、自身も得意という外交でのアピールを目論んだ岸田首相がコロナに感染。オンライン参加となりました。そのかわりに、林外相を首相特使に任命し、岸田首相と協力しながら各国との「マラソン会談」に臨んだものの、アフリカ諸国は代表団トップを首脳級から格下げした国も多く、参加48か国のうち、首脳級の出席は前回の19年の横浜会議の42人の半分に満たない20人にとどまるなど、TICAD自体の尻すぼみ感が拭えません。


ただ、日本の34社・団体が脱炭素やインフラなどで協力する92本の覚書をアフリカ側と交わすなど、日本の得意分野での開発協力が進んでいくとすれば、これはこれでとてもいいことだと思います。グロスで何億ドルをドーンというよりも、ひとつひとつのプロジェクトをコツコツ積み上げていく方が、お互いに信頼関係を築くにはいいと思います。量より質です。

 

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