時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

共通テスト、12月に前倒し実施を

日本私立大学連盟(私大連)会長を務める田中愛治早稲田大総長が、大学入学共通テストの実施時期を12月に前倒しして、私立大が利用しやすくすべきだと提言しているという記事を取り上げます。


なぜかというと、文系と理系の融合にまずは入試を対応させたいという考えからです。
国立大では文系なら理系科目、理系なら文系科目は若干力を抜いてもいいよ、となる。でも私立大の場合は力を抜くのではなく全くやらない。しかし、私立大の文系学部が理系科目の問題を、理系学部が文系科目を出題するのは大変。それなら大学入学共通テストを使えばいいと。1次試験は「共通テスト」を利用して幅広く基礎学力を見たうえで、2次試験は大学独自の「個別試験」で本当に欲しい学生を丁寧に選んだらいいのではと、田中会長は言います。


ここで問題になってくるのが、共通テストの実施時期です。実施が1月中旬では、大学に志望者の成績が届くのは早くて2/7あたり。入試時期が早い関西の大学は終わっています。関東でも多くが2月初旬から始めるので、共通テストを1次試験に使うのは不可能です。しかし、11月下旬か12月に共通テストを行えば、1月半ばに結果が出るので、私立大も十分に1次試験として使えると。共通テストならどの科目も自由に課せられるため、それが文理融合、文理の壁を崩すのに役に立つというのが田中会長のロジックです。


ここまで読んで、来年からでもやったら?と、とてもいいアイディアだと思いました。記事に、アメリカの例が紹介されていますが、共通テストで基礎学力が問題ないことが分かれば、大学独自の個別試験では、個々の特性や過去の活動実績、面談、プレゼン、小論文など、知識を問う筆記試験ではない、スクールカラーを反映させた選抜方法を問うのも一考です。


前倒し実現の障害として「授業が終わらない、秋は学校行事で忙しい」との理由で高校が反対しているようですが、田中会長が最後に書かれている通り、高校側の本音はこれまでの慣習や現状を変えたくないからだと思うので、そこは文科省がリーダーシップをとるべきところだと思います。

 

www.nikkei.com