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中国・太陽光メーカー、投資競争過熱 原発340基分新設

これほどまでになっているんだと大変驚きました。中国の太陽光発電メーカー各社が増産投資を競っています。カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出実質ゼロ)を宣言した中国・国内外の需要増に加え、これまではコスト競争力に優れるp型のセルが主流だったのが、発電効率の高いn型が低価格で供給できるようになったことも大きいようです。


以前は、日本のメーカーも太陽光発電パネルを製造していましたが、今では見る影もなく、世界の生産シェアの何と8割超を中国メーカーが占めます。8割とはすごいです。その源泉は、規模を重視した投資と生産量です。現在、世界の太陽光発電の新設量は、原子力発電所340基新設するのに等しい規模にのぼるというのですから、これまた驚きです。しかも、この340基は「年単位」だと。この数量、すなわち新設分だけで21年の発電能力を超えるというのですから、桁違いの生産量です。


中国企業の激しい投資競争は、供給増を通じて太陽光パネルの価格を世界的に押し下げます。太陽光発電は、長期的な需要増は確実だとはいえ、激しい投資競争は各社の体力を消耗させます。日本のように、経営難の業界や企業に補助金などを出して、ゾンビ企業を創出するようなことを中国はしません。特にこの分野での値下げ圧力は、経済面での米中対立で、習近平指導部を側面支援する可能性も指摘されます。アメリカは、国内への投資回帰を促すため、中国製の太陽光パネルの輸入はゼロにしています。このままなら、おそらくコストの高いパネルをアメリカ国内で消費者は使い続けることになります。基本的に、太陽光発電装置産業で、つくればつくるほど安くなります。ますます中国産は安くなっていくでしょう。


勝ち残らないと生き残れない。当然、イノベーションやコストダウンに各社とも必死になります。いい悪いは別にして、中国の破壊力をまざまざと見せつけられます。

 

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