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社高校を初の夏の甲子園に導いた監督、山本巧さん

夏の全国高校野球選手権大会の代表校が続々と決まる中、私の住む兵庫県は県立社(やしろ)高校が初めての夏の甲子園出場切符を手に入れました。


阪神の近本選手や楽天の辰巳選手をOBに持ち、「北播の雄」と称されながら、甲子園出場は2004年の選抜大会の1度のみ。夏の大会は過去9度、準決勝で涙を飲んできましたが、今年10度目の挑戦で準決勝を突破し、2年連続出場を目指す神戸国際大付を延長14回タイブレークで下したのは見事でした。

 

その社高校を率いるのが山本巧監督(50歳)。2度目の準決勝敗退を見て、「社で甲子園に行く」と決め進学したものの、最後の夏は5回戦どまり。「もう一度甲子園を目指すには…」と考えた結論が教職の道。しかし、学校に就職希望を伝えていたため、進路を変えれず民間勤務を経て学校職員として働きながら大学の通信課程で教員免許を取得したというキャリアが、とてもユニークです。

 

2000年に採用後、小野高校などで監督を務め、2014年に母校に着任されました。ご自身も2016年と昨年の2021年の2度準決勝の壁に…。しかし、昨年の4強メンバーが残ったチームは秋の県大会で初優勝。今年の春の大会は3位と、初めての夏の甲子園を狙える実力を十分つけて大会に臨みました。予選の7試合でわずか7失点と投手陣が安定し、決勝も3点リードの延長14回の無死満塁の大ピンチも堅い守りでしのぎ切りました。

 

今年のチームのテーマは、全員が束になって戦う「全束力」。例年、夏のベンチから漏れた3年生は大会前に引退しますが、今年は誰一人離れず、全員が束になって甲子園の切符を掴みました。私立全盛の高校野球ですが、激戦区の兵庫県で公立高校が頂点に立てることを示してくれました。

 

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