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再生の駅をまちづくりの拠点に 地元運送会社が駅直結の社屋

のどかな田園風景が広がるローカル線の無人駅に、人が集まり始めています。JR姫新線の太市(おおいち)駅。姫新線は、兵庫県姫路市から岡山県津山市を超えて新見市を結ぶ、全158キロのローカル線で、太市駅は姫路駅から約10キロ、4つ目の駅です。駅を核としたまちづくりの検討は、約5年前から始まりました。30年以上前に無人化され、1日の平均乗車人員数は約400人と姫路市内でも最少クラス。


それでも何とか、この場所を活性化の拠点にしようと考え、市によるロータリーや駐輪場整備に伴い、地域の要望などもあり、地元の運送会社、関西陸運が「駅」への移転を決めました。JR、市、自治会とも協定を結び、全国的にも珍しい形態が誕生。地元の自治会や企業、自治体、鉄道事業者が連携した駅の再生は「全国初」とも言われます。

 

「地域貢献を進め、物流業界のイメージを変えたかった」と、太市駅前を一望できる社長室で、関西陸運の井田正勝社長が移転のねらいを語ります。同社は1992年に創業し、98年に駅北側の石倉地区に本社を構えました。立地は山陽姫路西インターそばで、物流拠点としては申し分なし。ただ、商談の利便性や採用活動を考え、姫路駅前などへの本社機能移転も考えていたといいます。

 

しかし、2021年秋、旧駅舎跡地に地上2階建ての新社屋を建てます。ホームへの出入り口に直結し、1階には同社が運営するレストラン「ポラリス」が入ります。当初は空席が目立ったが、最近はランチタイムを中心に満席になるとか。地元の野菜や地場産品を販売するコーナーもあり、住民が採れたての野菜を持ってきた後、レストランでくつろぐ姿が日常になりつつあるといいます。

 

率直にとてもいい取り組みだなと思います。関西陸運の思い切ったチャレンジに拍手を送りたいです。人口53万人の姫路市の玄関口である姫路駅と、乗車人員数400人の太市駅とは比べ物にならないですが、都会から少し離れた場所で働いてみたい、住んでみたいという若者もいると思います。

 

一度、どんな駅か行ってみたいと思います。

 

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